食品安全情報blog過去記事

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赤ワインと糖尿病についての混乱

Confusion over red wine and diabetes
Monday November 22 2010
http://www.nhs.uk/news/2010/11November/Pages/red-wine-diabetes-claim.aspx
ワインに含まれる「スーパーフード」化合物が「2型糖尿病患者が毎日飲んでいる薬と同じ作用がある」とDaily Expressが主張した。新聞は「赤ワインを毎日小グラス一杯飲むと糖尿病の治療に役立つ」という。この話は赤ワインに含まれるポリフェノール化合物がPPARγと呼ばれるタンパク質とどう結合するかを調べた実験室での研究で、PPARγは糖尿病の薬ロシグリタゾンの標的タンパク質である。この研究はポリフェノール化合物もPPARγに結合するということを発見しただけで、ロシグリタゾンと同様の薬効があることは意味しない。さらにロシグリタゾンはある種の心血管系疾患リスク増加と関連することがわかったため、EUでは糖尿病治療薬としてはもはや販売されていない。ヒトでの効果が確認されるまで、赤ワインで糖尿病が治療できると示唆することは不正確で時期尚早である。