食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

CTスキャンが「脳腫瘍リスクと関連」

CT scans 'linked to brain cancer risk'
Thursday June 7 2012
http://www.nhs.uk/news/2012/06june/Pages/ct-scan-child-cancer-brain-tumours.aspx
Independentが「CTスキャンが子どもの白血病や脳腫瘍発症リスクを3倍にする」と報道した。CTは患者の体内を詳細に見るためのT線技術である。通常のX線撮影と同様、CTは患者にがんリスクを増加させる可能性のある放射線を暴露させる。
今日のニュースはCTスキャンを行った子どもや若者にその後白血病や脳腫瘍のリスクが増加するかどうかを調べた24年の研究に基づく。研究では最も少ない量の放射線暴露の子どもたちと高線量暴露の子どもたちのリスクを比較した。その結果暴露量が多いと白血病または脳腫瘍リスクが増加することを見いだした。最も低い暴露量の子どもたちと比べた場合、CTスキャンを2-3回行ったのに相当する量の放射線を浴びた子どものその後10年での脳腫瘍リスクが約3倍だった。5-10回分のスキャンを行った線量に暴露された場合は最小用量群に比べて白血病リスクが約3倍だった。しかしながらがんの総数は少ないことに注意すべきで、脳腫瘍か白血病のどちらなになるリスクは1%よりずっと低いままである。
この研究はCTスキャンで高線量放射線に暴露された子どもたちのある種のタイプのがんリスクが増えるかもしれないことを示唆する。実際のリスク増加分は小さいが、スキャンのメリットと比べるべきである。これらのリスクはイオン化放射線を使わないMRIには関係ないことに注意。しかしMRIはCTとは同じ解像度の結果を得られないため、必ずしも最適な方法ではない。

The Lancet, Early Online Publication, 7 June 2012
Beyond the bombs: cancer risks of low-dose medical radiation
エディトリアルでは現在進行中の他のコホート研究を紹介し今後さらなるデータが得られるだろうとしている。結果がどうなろうとCTの正当化が重要で、20-50%は必要ないあるいは別の方法で代替可能である。
(そして世界でもダントツで医療被曝の多い日本こそデータを出すべきなのに、そういう研究が行われていない)