食品安全情報blog過去記事

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夜勤で乳がんになるか?

Can night shifts give you breast cancer?
Wednesday June 20 2012
http://www.nhs.uk/news/2012/06june/Pages/breast-cancer-night-shift-link-claims.aspx
Daily Telegraphが「夜勤が年500人のがん死亡の原因」と報道した。看護師と客室乗務員が最も夜勤しやすい職業であるという。この話は英国のいろいろな職業のヒトのがんを推定する大規模プロジェクトに基づく。その中にはIARCががんリスクを上げることが確実またはありそうだと分類した多くの職業が含まれる。しかしTelegraphは夜勤にのみ焦点を絞った。
この解析では2005年の英国のがん死亡のうち約5%、2004年にがん症例のうち4%が職業によると推定している。夜勤による乳がんの追加リスクは2004年の英国での発症総数43200件のうち約2000、2005年の乳がん死亡のうち550に換算される。1956年から1996年の間に夜勤をした女性は200万人と推定されている。解析の推定値は用いたデータや仮定の正確さに依存し、結果には不確実性やバイアスがある。
この種の推定や解析は集団全体をみていることに注意することが大事である。個人のがんの原因が職業による単一のものとわかるわけではない。この種の推定は政策立案者や雇用主に何が最も重要な危害要因かを同定して対策をたてるために有用である。この研究からは夜勤が何故がんと関連するのかはわからない。
もしあなたがシフト労働をしているのなら、この研究をもとに不必要に心配することはない。夜勤と乳がんとの関連を示す根拠は限られており、理由は不明である。

BJCの職業とがん特集
Occupational Cancer in Britain
http://www.nature.com/bjc/journal/v107/n1s/index.html