食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

妊娠中のオーガニックミルクが赤ちゃんのIQを下げるという根拠はない

No evidence organic milk in pregnancy lowers a baby's IQ
Tuesday April 28 2015
http://www.nhs.uk/news/2015/04April/Pages/No-evidence-organic-milk-in-pregnancy-lowers-a-babys-IQ.aspx
「より健康的だと思ってオーガニックミルクに変更した妊娠女性はまだうまれていない赤ちゃんの脳の発育をリスクに晒しているかもしれない」と、オーガニックミルクは普通のミルクよりヨウ素が少ないという報告を受けてGuardianが報道した。ヨウ素甲状腺の正常な機能に必要で、甲状腺ホルモンは胎児の脳や脊髄の発達に必要である。このことは人生の全ての段階においてと同様妊娠中には十分なヨウ素摂取が重要であることを意味する。
農法が違う結果、夏の間草を与えられているオーガニック乳牛のミルクは標準のミルクよりヨウ素が少ないことが知られている。この研究では冬の間にスーパーで販売されているミルクを調べて冬でもオーガニックミルクのヨウ素は標準ミルクより約1/3少ないことを発見した。これは脂肪の含量とは関係がない。しかし1日の推奨量のヨウ素を摂るにはオーガニックミルクでも346mLで十分である。
見出しとは違って、研究者らはミルクを飲むことの子どもへの影響を実際に調べたわけではない。またミルク以外のヨウ素摂取源のヨウ素含量も考慮していない。従って妊娠中にオーガニックミルクを飲むと子どものIQに悪影響があるという根拠にはならない。
ただしオーガニックミルクのヨウ素含量が少ないことを知っておくのは意味があるだろう。他の摂取源から摂る必要があるかもしれないから。
(オーガニックの宣伝をする人たちが、残留農薬やオメガ3脂肪酸などのあるかなきかの差を大げさに健康に良いと言ってきたことへの皮肉でもある。これまでもオーガニック卵のほうがダイオキシン濃度が高いとか作物はカビ毒が多いとかいう情報は無視してきたように、都合の悪いことは無視するんだろうけど。)