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世界規模で行われた脂肪と炭水化物に関する研究、その結果は英国には当てはまらず?

Behind the headlines
Results of global fats and carbs study may not be relevant for UK
Wednesday August 30 2017
https://www.nhs.uk/news/food-and-diet/results-global-fats-and-carbs-study-may-not-be-relevant-uk/
英国の大衆紙The Sunは、「低脂肪食が『若年死亡のリスクを25%増加させる』」という研究結果をそのまま報じているが、これは幾分誤解を招く記事である。この見出しの記事が根拠としている研究は、主に、食生活が全く異なる低中所得国内の人々を対象としており、そのため得られた結果は英国には当てはまらない可能性がある。
飽和脂肪の多量摂取を心臓疾患や若年死亡に結び付けて検討する研究の多くは、これまで、心臓疾患と飽和脂肪摂取量のどちらもが比較的多い英国や米国のような、高所得国内において実施されてきた。そうした研究の結果、高脂肪食を避けるべきという提言が出されたが、これは、体重増加よりも十分な食事がより差し迫った問題であるバングラデシュジンバブエのような国においては、全く現実的でない可能性があった。そのため、今回の最新の研究では、低中所得国に焦点があてられた。
この最新の研究結果が示していることは、炭水化物により全カロリーの3/4以上を摂取している人は、炭水化物により全カロリーの約半分を摂取している人に比べて、28%死亡リスクが高くなるということである。
しかし、低中所得国の人々は、白米のような精製炭水化物への依存度が高い。そうした食品は、英国でより簡単に手に入る玄米や全粒パンのような精製されていない炭水化物に比べ、健康的でないことが知られている。
研究者は、この最新の研究結果により、世界的に食事のガイドラインを見直す必要性が示されていると述べている。しかし、炭水化物はエネルギー摂取全体の50〜55%に、脂肪は約35%にすべきだという研究者の提言は、英国の既存の食事ガイドラインと合致しているのである。
「脂肪と炭水化物の割合」に関する議論そのものは、ほぼ間違いなく、枝葉の問題である。実際の問題は、最新の英国肥満統計に基づけば、我々の多くが単に食べ過ぎであるということである。