食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

食品中のフランとメチルフランの存在に関する公衆衛生リスク

Risks for public health related to the presence of furan and methylfurans in food
EFSA Journal 2017;15(10):5005 [142 pp.]. 25 October 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5005
EFSAは、欧州委員会により、食品中のフランやメチルフラン(2-メチルフラン、3-メチルフラン、2,5-ジメチルフラン)の存在がヒトの健康に及ぼすリスクに関し、科学的に評価することを求められた。これらの化学物質は、熱加工過程で食品中に形成され、同時に生じることもある。フラン類は、アスコルビン酸アミノ酸、炭水化物、不飽和脂肪酸、カロテノイドなどのいくつかの前駆体から生産され、コーヒー、缶詰および瓶詰め食品を含む様々な食品に検出される。フランの発生に関しては、17,056件の分析結果を使用した算定が行われている。メチルフランについては発生データが得られていない。フランへの最も高用量での暴露は、主に乳児において、調理済食品を介して起きる推定された。幼児および青少年では、穀物穀物をベースとした製品が最も暴露に寄与している。成人、中年、高齢者では、コーヒーが暴露に大きく貢献している。フランは消化管で吸収され、最大含量を示すのは肝臓である。半減期は短く、チトクロムP450 2E1 (CYP2E1)により反応性代謝物質、cis-2-ブテン-1,4-ジアルデヒド(BDA)へと代謝される。BDAは、アミノ酸、タンパク質、DNAと共有結合し得る。フランによる最も顕著な影響は、ラットやマウスにおける肝毒性で、ラットでは胆管繊維症、マウスでは肝細胞腺腫/がんを引き起こす。In vivoでの染色体損傷の証拠は少なく、それを裏付ける作用機序の想察もできていない。間接的な発がんメカニズムには明らかな証拠があり、酸化ストレス、遺伝子発現の変化、後成的変化、炎症、細胞増殖などが挙げられる。CONTAMパネル(Panel on Contaminants in the Food Chain; 食品チェーンにおける汚染物質に関するパネル)は、暴露マージン(MOE)手法を用いて、リスクの総合評価を行った。その際、基準点として、ラットの胆管繊維症に関する用量0.064 mg/kg体重/日を用いた。この数値は、10%のラットに反応がみられるベンチマーク用量の信頼下限値である。算出されたMOEsからは、健康への懸念が示された。この結論は、腫瘍性影響に関して算出されたMOEsによっても支持されている。

  • フランならびにそのメチル化類縁物である2-メチルフランおよび3-メチルフランの経口毒性に関する重要文献の確認と収集

Identifying and collecting relevant literature related to the oral toxicity of furan and its methyl analogues, 2-methylfuran and 3-methylfuran
25 October 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1066e
EFSAプロジェクトの外部委託調査報告書。4つの分野について、PubMedとWebof Scienceの2つのデータベースを用いて実施された。第1分野(トキシコキネティクス)については3,184件がヒットした。第2分野(実験動物における経口毒性)については4,883件がヒットした。第3分野(in vitroおよびin vivo遺伝毒性ならびに作用機序)については2,588件がヒットした。第4分野(ヒトにおける事例)については1,295件がヒットした。これらを表題や要約でスクリーニングし、組み入れおよび除外の選択基準を適用して重要性を評価したところ、第1分野では33件、第2分野では44件、第3分野では75件(第2分野と重複する2件を含む)、第4分野では5件が残った。