食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • BPA-この世に新しいものはない?

Science 2.0
BPA – Nothing New Under The Sun?
By Steve Hentges | October 16th 2017
http://www.science20.com/steve_hentges/bpa_nothing_new_under_the_sun-227367
BPAへのヒトの主な暴露は食事由来である。一つは缶のエポキシ樹脂ベースのコーティングである。BPAが有害かどうかに影響する重要な因子は飲み込んだ後にどうなるか、で、薬物動態学の一分野の仕事である。ごく最近スウェーデンとカナダの研究者らがヒトでのファーマコキネティクス研究の結果を発表した。ボランティアに通常の暴露量より多いBPAを含むクッキーを食べてもらってどうなるか調べた。非常に感度の高い試験法でも、血中にはBPAは検出されなかった。一方暴露後間もなく、生物学的に活性のない代謝物が尿に検出された。この結果はBPAが経口暴露後速やかに代謝され排出されることを示す。この正常な代謝によりBPAが通常の暴露量のような低い用量では人体に害を与える可能性は低い。またこの結果は再現性の重要性も示す。この研究より前に3つの他の人体での研究があり、それぞれ異なる研究者グループが行っている。これら全ての4つの研究でほとんど同じ結果が得られている、つまり信頼性が高い。
この新しい結果は世界中の政府機関がBPAをレビューして低レベルの暴露は健康上の脅威とはならないと結論していることをさらに支持する。
一見この新しいデータは何も新しいことがないように見える。しかし話には続きがある。
もともとこの話が始まったのは2002年にドイツの大学グループがヒトでのファーマコキネティクス研究を行いBPAが生物学的に不活性な代謝物に効率よく変換されて尿中に速やかに排出されることを示した。経口で5mgと典型的な暴露量の何百倍にもなるが、血中からはBPAは検出されなかった。尿中への排泄は24時間以内にほぼ完全だった。この研究は質が高かったがBPAが有害だと信じている人たちは受け容れることを拒否した。
一部はこの研究に疑問が提示されたこともあって米国NTPがより大規模でより低濃度のBPAを検出できる方法を使ってヒト研究を行った。この結果は2015年に発表されているが2002年の結果と同様だった。しかしそれでも終わらない。三つ目のヒト研究、太平洋北西国立研究所とFDAのグループによる結果も2015年に発表された。再び結果は一緒だった。
この3つの試験で一致していることから、新しい研究はBPAの理解にあまり付け加えることがない。しかしこの結果は科学的手法の基本原則を示す。別々に何度も再現されるということはより信頼できる。
さてBPAが速やかに完全に人体から排出されることを知って、BPA暴露の測定法がわかった。つまり尿中代謝物を計ると一日の摂取量が推定できる。実際多くのバイオモニタリングではそうしていてこれらの研究では一貫して世界中のBPA暴露量は少ないことを示している。
これら全てを総合してBPAの安全性についての結論が導かれている
(引用されている文献では経皮吸収を強調しているけれど
Prolonged Exposure to Bisphenol A from Single Dermal Contact Events
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.est.7b03093

  • がんとの戦いでは、患者と医師は必要のない検査と治療を心配

In cancer war, patients and doctors worry about unneeded scans and therapy
Oct. 26, 2017
https://www.usatoday.com/story/news/2017/10/26/cancer-war-patients-and-doctors-worry-unneeded-scans-and-therapy/804396001/
過剰診断と過剰治療に警告する声がますます大きくなっている

  • 朝の散歩中に薬物過剰使用で倒れた犬が抗オピオイド薬で救われた

Dog Saved by Opioid Reversal Drug After Overdosing and Collapsing During Her Walk
By Janissa Delzo On 10/26/17
http://www.newsweek.com/dog-saved-opioid-reversal-drug-after-overdosing-and-collapsing-during-his-walk-694223
木曜日に大統領が公衆衛生上の危機を宣言したが、今や薬物は我々の毛むくじゃらの友人達にも影響している。
Peter ThibaultがZoeyという名前の3か月のイエローラブラドールと散歩していたとき、犬がタバコの袋を噛んでいるのに気がついた。箱を口から離してすぐに犬は倒れた。「何がおこったのかわからなくて家に連れて帰った。」ますます状態が悪化し地元の動物病院に連れて行った。ナロキソンで助かった。獣医によるとこういう事例は初めてではなく、これからもおこるだろう。

Scottish government crackdown on unhealthy food offers
http://www.bbc.com/news/uk-scotland-scotland-politics-41762128
砂糖脂肪塩の多い食品の宣伝はスコットランドでは制限される、と大臣が確認した。
さらに大臣は21:00前の不健康な食品のテレビ広告は禁止したい

値引きやサイズにも制限が
SNP plan to tackle Scotland's obesity crisis by restricting supermarket offers and restaurant meal sizes
http://www.telegraph.co.uk/news/2017/10/26/snp-plan-tackle-scotlands-obesity-crisis-restricting-supermarket/

Pennsylvania girl, 1, died from carfentanil accident
Oct 26, 2017
http://www.570news.com/2017/10/26/pennsylvania-girl-1-died-from-carfentanil-accident/
8月に突然死した1才の女の子は、偶然カルフェンタニルに暴露されたとAllegheny郡検視官が言う。母親によると過剰暴露されたときはベビーシッターが見ていた

  • 医療はルーチンDNA検査の準備ができているか?大規模なあたらしい研究が発見するだろう

Scienceニュース
Is health care ready for routine DNA screening? A massive new trial will find out
By Bijal P. TrivediOct. 26, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/10/health-care-ready-routine-dna-screening-massive-new-trial-will-find-out
匿名の38才のGeisinger医療センターで働く看護師Dana Atkinsonはしばらく前に定期健康診断で血液をとるときにDNAの配列を決めることに合意した。それをすっかり忘れていたら電話があってQT延長症候群に関連する希な突然変異があると言われた。電話は詳細は語らず相談に来るようにという。彼女は医療職ではあるがこの意味がほとんど理解できなかった。しかしこれが自分と三人の子どもにとって心配すべきことだということはわかった。カウンセリングでは、変異があっても必ずしも病気になるわけではないと言い、家族の中で変異をもっている可能性のある人を指摘した。子ども達のDNA検査はしたが親戚にはまだ言っていない。準備ができていない。
準備ができていようといまいとペンシルベニアでは既に400人以上が過去2年間に同様の知らせを受け取っている。これは世界最大の臨床ゲノム配列決定プロジェクトMyCode Community Health Initiativeの一環である。Geisinger Health Systemが行っている。これまで92400人以上のタンパク質をコードする遺伝子配列、エクソームを決めてきた
(以下このプロジェクトについての長い記事、略)
「もしあなたが適切な理解をしていない人を検査したら、その人たちに大きな害を与える可能性があるだろう」とJames Evansは警告する
(最後のほう)
Atkinsonはスポーツをしている息子二人がQT延長変異を遺伝していることを知った。激しい運動をしているときに最も突然死がおこりやすい。上の息子は小児心臓専門医にかかり心電図をとって2週間心臓を監視しQT延長症候群が示唆された。そのためβブロッカーを処方されさらに2500ドルのAEDを購入した。この装置は保険でカバーされない。医学的検査ではAtkinson自身はQT延長症候群ボーダーラインであるが、家族歴があるのでβブロッカーを飲んでいる。下の息子も定期的に監視するだろう。Geisingerのアプローチがどうなるかはまだ何年もかかるだろうがAtkinsonは信じている。「私は変異が見つかったことを感謝している。息子を失わずにすんでいる」