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FDA,クラトムを含有すると報告された製品に関連した、複数の州にまたがるサルモネラ症流行を調査

FDA Investigates Multistate Outbreak of Salmonella Infections Linked to Products Reported to Contain Kratom
March 15, 2018
http://s2027422842.t.en25.com/e/es?s=2027422842&e=62483&elqTrackId=B1F0B909CCF90C71B9C490C37BFE6647&elq=726bfcafbfef4c07bb4b22ad24ecfd81&elqaid=2794&elqat=1
<一部>
更新情報
・2018年3月9日、オレゴン州ポートランドのPDX Aromatics社は、Kraken Kratom、Phytoextractum、およびSoul Speciosaのブランド名で販売していたクラトムを含む特定の粉末製品をリコールした。これは、カリフォルニア州の公衆衛生局が、売られていたクラトム製品の開封試料にサルモネラを検出したことを受けての事である。
・2018年3月14日現在、サルモネラ感染の報告は35州の87人に上り、27人が入院。これまでのところ、クラトムについて質問された患者55人中40人が、発症前にクラトム摂取していた。
概要
FDAは、サルモネラ症の流行との関連から、クラトムおよびクラトムを含む製品を避けるように消費者に呼びかけている。クラトムは、Mitragyna speciosaを学名とする植物で、タイ、マレーシア、インドネシアパプアニューギニアなどで自然に生育する。
ノースダコタ州の患者は、Soap KornerというオンラインショップからS.K. Harbalistというブランドのクラトム粉末を購入したと報告している。またユタ州の患者は、Kratomaというオンラインショップからクラトム粉末を購入したと報告している。
・上述の通り、018年3月9日、オレゴン州ポートランドのPDX Aromatics社は、Kraken Kratom、Phytoextractum、およびSoul Speciosaのブランド名で販売していたクラトムを含む特定の粉末製品をリコールした。
・各州の検査により、他のブランドのクラトムにもサルモネラが検出された。これは、複数の販売業者がサルモネラ汚染したクラトム製品を供給していたことを意味する。必ずしも流行に関与したサルモネラ菌株ではないサルモネラ菌が検出された場合もあるが、この場合も健康には脅威である。
サルモネラの流行による懸念に加えて、FDAは引き続きどのようなクラトム製品にも手を出さないように消費者に警告していく。クラトムの使用はFDAで認可されておらず、その使用により死亡に至ったという報告も得られている。
何が問題とされ、何が行われているのか?
・CDCは、これまでに得られた証拠から、クラトムやクラトム含有製品がこのサルモネラ症流行の原因である可能性が高いと報告している。これらの製品は、葉、錠剤、カプセル、粉末、お茶など多様な形で販売されており、ラベルにクラトムと表示されてないものも多い。米国麻薬取締局(DEA)が確認したクラトムの別名は、Mitragyna speciosa、mitragynineextract、biak-biak、cratom、gratom、ithang、kakuam、katawn、kedemba、ketum、krathom、krton、mambog、madat、Maeng da leaf、nauclea、Nauclea speciosa、thangなどである。
・2018年3月12日現在、クラトムについて質問された患者55人中40人が、発症前にクラトム摂取していたが、その多くがMaeng da red veinブランドのクラトムを使用していたと報告している。
・検査は引き続いて実施されているが、これまでの情報に基づくと、複数のブランドおよび販売業者により汚染製品が供給されており、また製品の製造や取り扱い手法に問題があることも示唆される。
時系列
・2018年2月12日、FDAサルモネラ症の州にまたがる流行の情報が入る。原因菌株は稀な菌株であり、Salmonella I 4,[5],12:b:-である。
・2018年2月20日、CDCは、2018年2月16日現在、20州の28人が感染し、11人が入院したことを発表。その内8人は、クラトムの錠剤、粉末またはお茶を摂取したと答えた。
・2018年2月28日、CDCは、27州の40人がSalmonella I 4,[5],12:b:-に感染したと発表。14人が入院。問診を受けた24人の内17人が発症前クラトムを摂取したと回答。
・2018年2月28日、ノースダコタ州ユタ州の衛生局は、患者1名ずつから使い残しのクラトム粉末を収集。いずれの試料からもSalmonella I 4,[5],12:b:-が検出された。ノースダコタ州の患者は、S.K. Herbalistブランドのクラトム粉末をウェブサイトsoapkorner.comから購入していた。ユタ州の患者は、ウェブサイトkratoma.comからクラトム粉末を購入していた。
・2018年3月8日、オレゴン州保健局は、ハーブサプリメントを摂取したオレゴン州の2人がサルモネラ症を発症したことを受けて、クラトム製品がサルモネラ菌にい汚染されている可能性があることを警告する報道発表を行った。
・2018年3月9日、PDX Aromatics社は、Kraken Kratom、 PhytoextractumおよびSoul Speciosaの事業体名で販売していたクラトム製品について、自発的にリコールを発表した。対象品名は、Red Dragon Kratom Powder、Red Vein Borneo Kratom Powder、Red Vein Sumatra Kratom Powder、Red Vein Thai Kratom Powderおよび Super Indo Kratom Powderである。
FDAと州の管轄機関は、複数のクラトム製品について検査を続けていた。2018年3月14日現在、25製品でサルモネラ菌が陽性であった。そのうち3菌株は今回の流行の原因菌と一致し、22株は別の菌株であったか同定実施中である。
・2018年3月14日現在、CDCは、35州の87人が、流行した菌株の4つの血清型である、Salmonella I 4,[5],12:b:-、Salmonella Javiana、Salmonella OkatieおよびSalmonella Thompsonに感染したと報告している。うち、27人が入院した。
消費者に必要なことは?
サルモネラ症の徴候が見られたら、医療従事者の診察を受け、クラトムを含有すると報じられた製品も含めて使用したものについて医療従事医者に告げること。ただしラベルにはクラトムと記載されていない製品もあるので注意すること。
・これらの製品が残っていたら、廃棄すること。念のため、もはや元の包装の形で保管されていないクラトムも廃棄すること。保管のために用いられていた容器は徹底的に洗浄し、殺菌すること。二次汚染を防ぐために、これらの製品に触れた後、手、作業面および作業道具を徹底的に洗浄し、その場所でおなじ時間に調理を行わないこと。
・クラトムはどのようなものであっても購入しないこと。今回のサルモネラ症の流行といった形の公衆衛生上の懸念に加え、クラトムにはモルヒネと同じ脳内オピオイド受容体に影響を及ぼすという証拠があり、クラトム利用者には、中毒、乱用および依存のリスクが生じることが考えられる。
FDAがクラトムの使用を許可している例は無く、その使用により死亡に至ったという報告を得ている。FDAは、この問題について、得られた科学的情報に基づいて積極的に評価を行っており、引き続き消費者に対し、植物成分のクラトムやその向精神性化合物であるミトラギニン(mitragynine)や7-ヒドロキシミトラギニンを含む如何なる製品も入手しないように、警告を続ける。FDAは、クラトムを他の物質と一緒に使用した場合も含め、クラトムの安全性プロファイルをさらに解明するための今後の研究を支援していく。