食品安全情報blog過去記事

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食品中の微量化学汚染物質―Roger Genet氏への3つの質問

Traces of chemical contaminants in food – three questions for Roger Genet
News of 23/02/2018
https://www.anses.fr/en/content/traces-chemical-contaminants-food-%E2%80%93-three-questions-roger-genet
ANSESの長官であるRoger Genet氏は、全てが消費者へのリスクに結びつくわけではないが、果物や野菜における化学汚染物質の問題を重視している。彼は、食品中の残留農薬の存在の監視、様々な年齢集団についての暴露評価、および消費者保護の確保に向けての、ANSESの取り組み方を説明している。
Q: 環境保護団体Générations Futuresが、非有機栽培果物の4分の3および非有機栽培野菜の41%に痕跡量の農薬が含まれていることを明らかにしましたが、この最新調査データに驚かされたか?
A: 食品中に痕跡量の化学汚染物質が含まれていても、それは必ずしも健康へのリスクを生じることを意味してはいない。消費者は、果物や野菜など多くの食品に化学物質の残留物が見つかることがあることを知っている。食べる前にこれらの製品の皮をむいたり洗ったりするよう勧められるのはこのためである!さらに、そうした残留物には上限値、すなわち最大残留基準(MRLs)が設けられている。MRLsは、厳しい規制の枠組みに基づいて定義されており、私達の現在の知見の範囲内で消費者を守るものである。ヒトが摂取する食品か動物用飼料かに関わらず、これらの上限値を超える農作物は市販認可されない。これらのMRLsは、慢性のハザードとリスクの評価を行った上で設定され、設定に当たっては広い安全マージンが含められる。したがって、食材における農薬の痕跡がMRLsより低いかMRLsと同等の場合はもちろん、例外的な事例でMRLsを超過した場合であっても、必ずしも消費者の健康に何等かのリスクが生じることを意味しているわけではない。
Q: 最終的にこれらの汚染物質に消費者がどの程度暴露されているのか、我々は本当に把握しているのか?
A: 定期的に行っている調査のおかげで、私達は大変正確なデータを手にしている ANSESは、トータルダイエットスタディ(TDS)を実施し、消費される(皮をむいて調理した)食品に存在する化学物質への消費者の暴露を監視している。最も最近に公表されたのは、2011年と2016年の調査(TDS2およびiTDS)で、成人の食事と3歳以下の子供の食事がそれぞれ検討され、食品に関する健康リスクが良く管理されていることが示されている。これらの2件の調査の枠組みにおいて定量・分析された、それぞれ452種類と670種類のの化学汚染物質の内、参照値を超えていたのは、鉛、カドミウム、無機ヒ素、PCBs、アクリルアミドなどの12種類足らずの物質であり、その結果、リスクが高い特定の年齢集団における暴露を減らす努力が求められていることが判明した。ANSESは2019年に、これらのデータを再び更新する予定である。
また、近年の規制強化が著しい進展につながっていると考えられる。欧州レベルで実施されている最新の管理の評価では、2015年にEUで集められた食品試料の97%以上が認可基準以内であり、53%強では定量可能な残留物は検出されなかったことが示されている。だが、より多くのことを実施すべきであり、我々は、我々の活動と専門知識を通じて、できるだけ環境汚染を低減し、汚染が健康へ及ぼす影響を減らすのを支援している。
食品に関する国家協議会において明示されたように、これには農薬の使用を減らす手段の探求、農薬代替品の開発、生態的防除方法などの代替策の実現も含まれている。特定の年齢集団の暴露を減らすための手段もとる(あるいは強化する)必要があり、そのためには特に環境への排出を管理する政策の適用やできるだけ低い規制値を設定することが求められる。
Q: 化学物質に暴露されるリスクを低減しながらバランスの取れた食事をとれるようにするためにどのような助言があるか?
A: 消費者は、推奨限度を超えてしまう主要なリスクは、多くの場合、一定の食品や食品群を大量に摂取するといった、特定の行動様式に関連していることを知っておくべきである。ANSESは、バランスの取れた健康的な食事とは、様々な供給源からいろいろな食品を摂取する多様な食生活を意味するということを定期的に告知している。豆類、全粒粉の穀物製品、野菜、果物、特定の植物油をもっと摂取することも推奨している。他方、ANSESは、家禽を除く肉や、特に総菜販売店の肉、また甘味飲料の摂取を制限する必要性を強く主張している。
特に子供たちには、国家健康栄養プログラム(PNNS)の助言に従い、生後6ヵ月までは食事に多様化を導入しないことが必要であることを強調する。これは、食事の多様化が、特別な懸念があるとはみなされていなくても、特定の汚染物質への暴露につながる場合があるからで、このような汚染物質への暴露は、乳児用粉ミルクの摂取によるものよりも、多様化の場合の方が高くなる可能性があるからである。