食品安全情報blog過去記事

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野生猟獣類の摂取: 化学汚染物質や特に鉛への暴露を低減するための対策が必要である

Consumption of wild game: action needed to reduce exposure to chemical contaminants, and to lead in particular
News of 23/03/2018
https://www.anses.fr/en/content/consumption-wild-game-action-needed-reduce-exposure-chemical-contaminants-and-lead
ANSESは本日付けで、野生猟獣類の摂取、および野生猟獣類と飼育猟獣類の両方で検出される環境化学汚染物質(ダイオキシンポリ塩化ビフェニル類(PCBs)、カドミウムおよび鉛)の摂取で生じる健康リスクに関する専門家の評価の結果を公表した。野生猟獣類は、それらの生活環境に存在する様々な化学物質によって、あるいは銃弾によって汚染されている可能性があるが、入手可能なデータからはフランスの野生猟獣類における汚染の状態が部分的にしか判らない状態である。そのためANSESは、小型および大型の野生猟獣類における汚染水準、およびそれらを消費する人々における食事暴露量のより詳しい調査を推し進めている。専門家の評価は鉛に関連した健康上の懸念を強調しているため、ANSESは、消費者暴露を低減するための様々な方策を提案している(鉛製の銃弾の代替、獣肉の危険部位切除、消費頻度の管理など)。追加のデータが得られるまで、大型野生猟獣類(シカやイノシシ)における鉛汚染水準を考慮して、ANSESは、妊娠可能年齢の女性や子供は大型野生猟獣類の全てについて消費を控えることを推奨する。またその他の消費者に対しても、時々の摂取、年に3回ぐらいの摂取に制限した方が良いと助言する。
猟獣類の肉や肝臓については、化学物質汚染の実態データが無く、許容濃度や最大含量が定義されていない。
そのためANSESは、フランス食品総局およびフランス保健総局から、野生猟獣類の摂取により生じる健康リスクと、特定の主要な環境化学汚染物質(ダイオキシン、PCBs、カドミウムおよび鉛)の濃度についての専門家による評価を実施するよう要請された。この評価は、公的機関によって実施された管理計画の枠組みの中で集められたデータに基づいている。
ANSESの結論
2007年からの管理計画で得られた野生猟獣類での汚染データは、大型獣(シカおよびイノシシ)に限られている。また、猟獣類が食される頻度に関するデータを欠いているため、詳細な健康リスク評価は行えない。
しかし、どの汚染調査を見ても、野生猟獣類は飼育猟獣類よりも平均汚染濃度が高い。特に専門家の評価では、大型の野生猟獣類(イノシシ、アカシカノロジカ)の肉に検出される鉛に関連した健康上の懸念が強調されている。これは環境に由来するものもあるが、銃弾の破砕現象と密接に関連していると考えられ、獣肉において銃弾が通った跡の周縁の広い領域で汚染度が高い原因となっている。この汚染経路は、食事による鉛への暴露の主要因となっている可能性さえある。
ANSESの助言
まず、鉛の銃弾に代わるものを使うこと、銃弾が通った跡の領域を切除した肉を用いることである。そして以下の助言に従って欲しい。
2016年時点で120万人もの狩猟者がおり、その家族や友人を含めると猟獣類を消費する人の数は多いが、消費者は大型野生猟獣類の消費を時折に制限した方が良い(年に3回ぐらい)。
また、胎胚発達期および幼少期に観察される鉛の有害影響を考えると、妊娠可能年齢の女性や子供は大型野生猟獣類の全てについて消費を控えるべきである。