食品安全情報blog過去記事

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動物飼料中望ましくない物質としてのクロルダンに関するCONTAMパネルの意見

Chlordane as undesirable substance in animal feed[1] - Scientific Opinion of the Panel on Contaminants in the Food Chain
23/11/2007
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178661055358.htm
クロルダンは1947年に非浸透性・塗布用・経口殺虫剤として市販された。工業用クロルダンは少なくとも147の化合物殻なる混合物で、43 75 % のcis-及び trans-クロルダンと、すれより少ない量のヘプタクロール、 cis- 及びtrans-ノナクロール、クロルデンを含む。1970年以降はより精製された95%以上のcis-及び trans-クロルダンを含む製品が製造された。クロルダンは主に土壌や種子処理、木材保護目的で農業用に使用された。EUでは1981年から、現在ではほとんどの国で使用が禁止されている。環境中では比較的安定で遠くまで運ばれる。クロルダンはストックホルム条約の難分解性有機汚染物質(POPs)で、UNECEのCLRTAP-POPである。クロルダンは脂溶性が高く環境中で難分解性であるため生物濃縮されてフードチェーンを介して汚染が拡大する。クロルダン類の化合物は塩素原子の数が多いと難分解性が増す。クロルダンの急性毒性は中程度で、代謝物であるオキシクロルダンとノナクロールはcis-及び trans-クロルダンより毒性が高い。ほ乳類においては主な標的臓器は肝臓と神経系である。クロルダンはマウスにおいて多分非遺伝毒性メカニズムにより肝腫瘍を誘発する。IARCはヒト発がん性の可能性がある(グループ2B)と分類している。
クロルダンは水系で暴露すると魚への毒性は中程度から高度であるが、餌で与えた場合の毒性データはない。産卵鶏においては高濃度で産卵を阻害する。イヌでのNOAELは、長期投与による肝毒性を指標に0.075 mg/kg体重(3mg/kg飼料)である。家畜についてはLOAELやNOAELを導き出せる研究はない。クロルダンは魚から作った飼料を除くとそれほど頻繁に飼料中から検出されているわけではない。検出されている濃度は数microg/kgの低濃度で、イヌで有害影響が見られた濃度より遙かに低い。クロルダンや関連化合物の代謝や排泄は種により大きく異なる。動物で一般的に検出されるのはオキシクロルダンとトランスノナクロールである。現状のクロルダンへのヒト食事暴露量は数ng/kg体重/日と低レベルで、WHOが1995年に設定したPTDI 500ng/kg体重より2-3桁低い。