食品安全情報blog過去記事

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缶詰スープの化学物質リスクは誇張されている

Behind the Headlines
Risk from chemical in canned soup overstated
Thursday November 24 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/11November/Pages/gender-bending-chemical-in-soup-claims.aspx
Daily Telegraphが缶詰食品には「問題の「性を曲げる」化学物質が生鮮食品より1000倍以上多く含まれる」と報道した。このニュースは缶詰スープを食べると尿中BPA(缶の内側にさび止めに使われている)がどのように増加するのかを調べた研究に基づく。
近年BPAは一部の研究でホルモン様作用があるかもしれず胎児や乳児の発育に干渉することが示唆されたため注目されている。EUとカナダでは予防的措置としてほ乳瓶への使用が禁止されている。この研究では缶詰スープ一食分を5日間続けて食べると缶でないスープを食べた場合に比べて尿中BPA濃度が1200%増加することを見いだした。これは缶詰のスープがBPAの摂取源であることを示唆するものではあるが、この研究では何の健康影響も調べていない。むしろ尿中の高濃度BPAは人体が速やかに排出できることを意味する可能性がある。英国FSAはBPAについて広範囲に調査しており、通常の摂取量では消費者にリスクはないと言っている。同時にFSAは例え高濃度のBPAであっても人体では速やかに排出されるため、健康上の懸念とはならないことを指摘している。しかしながらFSAは消費者にとって意味があるかどうかについてこの研究を吟味していると伝えられている。