食品安全情報blog過去記事

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放射線リスクの一般の認識:公衆とのコミュニケーションにおける意味

The public perception of radiation risks: implications for communicating to the public.
26 October 2018,
https://www.rivm.nl/en/Documents_and_publications/Scientific/Reports/2018/oktober/The_public_perception_of_radiation_risks_implications_for_communicating_to_the_public
本文オランダ語
一般の人々の放射線事故リスクの認識は専門家のそれとは大きく異なる。どちらも重大な事故がおこる可能性については非常に小さいと推定しているが、専門家と違って多くの市民は原子力事故がおこると、それがたとえ遥か彼方でおこった場合であってもたくさんの人が死んで奇形になると考える。この認識の違いは、一般人のリスク判断が、主に技術的情報をもとにする専門家の考慮するものとは異なる要因に基づくことによる。放射線リスクの効果的コミュニケーションのためには、提供される情報は人々が既に知っていることや考えていることにより近いものに適応することが重要である。
一般のリスク認知に影響する要因は4つあり、最初にそれがどのくらい未知で恐ろしいかで、人々がそのリスクをよく知らなくて恐がっているのなら、リスクは大きいと感じられる。従って放射線のリスクコミュニケーションには知識の強化を目指す。
二つ目は、人々はリスクについての心象を個人的環境や経験をもとに形成する。この心象を放射線の専門家のものと比べると、どんなに大きな差があるかわかるだろう。従ってコミュニケーションは特にこれらの点に向けられる。これまでの心象比較ではオランダの一般人が真に必要としているのは事故があったときにどうすればいいのかと核施設の場所に関する情報である。
三つ目は特定の活動について抱いている態度である。それによって利益があることを経験していて規制や監視機関を信頼しているとよりポジティブになる。信頼を維持するためにはコミュニケーションは透明で事実に基づいているべきである。一つの大きな問題は、科学的情報は幾通りにも解釈可能で必ずしもその解釈が組織のものとは同じではないことである。
最後に個人の社会環境からの信号も重要な要因である。それらは友人やソーシャルメディアから受け取るものもある。従って組織はこうしたソーシャルメディアチャンネルもよく練られた戦略のもとで可能な限りコミュニケーションに使うことが重要である